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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2026/06/02 11:06, 提供元: フィスコ

インフキュリオン Research Memo(6):2026年3月期は主要サービスの成長で大幅増収増益

*11:06JST インフキュリオン Research Memo(6):2026年3月期は主要サービスの成長で大幅増収増益
■インフキュリオン<438A>の業績動向

1. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期業績は、売上高が前期比32.5%増の9,505百万円、売上総利益が同43.0%増の4,559百万円、EBITDAが同197.4%増の560百万円、営業利益が同207.4%増の440百万円、経常利益が同212.9%増の336百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同495.0%増の444百万円となった。上場初年度は、2月13日に上方修正して開示された業績予想を上回り、かつ中期経営目標として掲げた平均成長率を超える増収を達成している。

売上高の内訳を見ると、フロー収入は前期比1,124百万円増加した。SMBCグループとの協業に係るシステム開発売上の計上や、モビリティ業界向け決済端末導入案件の進展、アクワイアリングシステムの開発進捗に応じた収益計上が寄与した。従量型ストック収入は同998百万円増加し、「Xard」や「Winvoice」の取扱拡大に伴う決済処理金額の増加が押し上げ要因となった。その他ストック収入は同237百万円増加した。コンサルティング収入は同28百万円減少したものの、利益率の高い案件に集中したためである。

コスト面では、売上原価が前期比960百万円増加した。協業案件に係る開発原価や決済端末の仕入原価の増加など、フロー収入の拡大に連動したコスト増である。販管費は同1,072百万円増となり、「Winvoice」の決済処理金額の成長に伴う収益分配費用の増加のほか、開発エンジニアを中心とした人材採用の強化による人件費・採用費の増加が主因である。

営業利益は、増収効果によりこれらのコスト増を吸収し大幅な増益となった。売上総利益率の改善も寄与し、収益体質の強化が進んでいる。

2. 経営指標
2026年3月期の従量型ストック収入のベースとなるBtoB GTV(企業間取引の決済処理金額)は前期比105.0%増の4,473億円と大幅に拡大した。主な要因は、「Xard」の導入先の着実な増加や、「Winvoice」における販売・導入を担うパートナー企業の拡大などである。BtoB GTVは利用企業数の増加に連動して積み上がる構造を有しているため、導入が進むほどGTVが成長しやすい。新規案件のパイプラインが順調に積み上がっており、次期以降も高成長トレンドが継続すると見込まれる。

2026年3月期末のペイメントプラットフォームの利用企業数は前期比52.5%増の106,808社と拡大した。幅広い層への導入が進んでいると見られ、企業間決済のデジタル化やキャッシュレス化など構造的な追い風を着実に取り込んでいる点が評価される。決済領域では、一度システムが導入されると継続利用されやすく、利用企業数の増加は将来のGTV拡大や安定的な収益成長につながりやすい。

これらの経営指標を総合的に見ると、「利用企業数の拡大」と「決済処理金額の成長」の両輪がバランスよく回転している段階にあると言える。単なる一時的な取引増加ではなく、プラットフォームとしての利用基盤そのものが広がっている点は、事業の持続性やスケーラビリティの観点からもポジティブである。

3. 事業セグメント別業績
(1) ペイメントプラットフォーム事業
ペイメントプラットフォーム事業の売上高は前期比44.5%増の5,289百万円、セグメント損失は181百万円(前年同期は223百万円の損失)となった。内訳を見ると、フロー収入は同16.5%増の3,070百万円であり、ストック収入は同116.4%増の2,218百万円と大幅に拡大した。特に、「Xard」や「Winvoice」においてGTVが拡大し、損失は逓減している。「Winvoice」において大型案件を獲得したことにより変動費が増加したものの、ストック限界利益は約1.6倍へ着実に拡大した。

(2) マーチャントプラットフォーム事業
マーチャントプラットフォーム事業の売上高は前期比36.4%増の2,736百万円、セグメント利益は同529.1%増の501百万円となった。内訳を見ると、フロー収入は同83.4%増の1,510百万円と急拡大しており、モビリティ業界向けに決済端末を導入する大型案件が前倒しで進捗したことや、アクワイアリングシステムの開発に伴う売上計上などが寄与した。ストック収入は同3.6%増の1,225百万円と横ばいで推移したが利益面は大きく改善しており、同社の決済技術が特定業界のインフラとして評価されている点がうかがえる。

(3) コンサルティング事業
コンサルティング事業の売上高は前期比1.9%減の1,478百万円、セグメント利益は同48.8%増の588百万円と拡大した。決済や金融システムに関する専門性を生かしたコンサルティング案件において、過去に支援した顧客からの再受注や追加案件が継続的に発生しており、高いリピート率が売上と利益の下支えとなっている。既存顧客との長期的な関係性の中で収益を積み上げている点は、収益の安定性という観点で評価できる。

4. 財務状況と財務指標
2026年3月期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比5,525百万円増加の10,759百万円となった。流動資産は同4,962百万円増加の8,964百万円であり、主には現金及び預金が上場に伴う資金調達等により3,724百万円、未収入金が「Winvoice」の決済額増加により1,198百万円それぞれ増加した。固定資産は同563百万円増加の1,794百万円であり、主には繰延税金資産が364百万円増加した。

負債合計は前期末比2,362百万円増加の5,182百万円となった。流動負債は同2,682百万円増加の4,343百万円であり、主には「Winvoice」の取引増加に伴う借入実行により、短期借入金が1,957百万円増加した。固定負債は同320百万円減少の838百万円となった。長期借入金が同額減少している。純資産合計は同3,163百万円増加の5,577百万円となった。主には新規上場に伴う公募増資等により資本金及び資本剰余金がそれぞれ1,361百万円増加した。

財務指標を見ると、自己資本比率は51.8%と成長投資を進めるなかではバランスの取れた水準にある。決済領域では取扱高の拡大に応じて運転資金が膨らみやすく、一定の負債活用は一般的であるが、同社は自己資本を5割超確保しており、財務基盤の安定性は維持されていると評価できる。

流動比率は206.4%と高水準であり、短期的な支払能力には十分な余力がある。同社は、「Winvoice」の成長に伴い一時的な資金の立替えに伴う未収入金が増加するバランスシートの構造であるが、短期借入金で調達することで、財務上の安定性を確保できている状況と言える。決済事業では資金の入出金タイミングのズレが生じやすいが、同社は流動性リスクを抑えた運営ができている。

NetDebt/EBITDAは-3.97倍とネットキャッシュであり、上場調達後のキャッシュポジションが厚く、成長投資と財務健全性のバランスが取れている。特に「Winvoice」の取引拡大に伴う借入は、将来の収益拡大を前提とした運転資金性の色合いが強く、収益成長が続く限りでは許容範囲と考えられる。

以上を総合すると、同社の財務状況は、決済処理金額の拡大に伴い負債が増加する局面にありながらも、流動性、安全性、収益力のいずれも大きな懸念はなく、全体として健全性を保っている。成長フェーズにある決済プラットフォーム企業として、適度なレバレッジを活用しつつ、安定した財務基盤の下で事業拡大を進めている点は評価できる。今後は取扱高の伸長が収益やキャッシュ・フローの拡大につながるかが、財務指標のさらなる改善に向けた注目点となるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)


《HN》

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