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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2025/12/16 11:05,
提供元: フィスコ
RIZAP−G Research Memo(5):2026年3月期は、収益構造の再構築(出店・広告抑制)から再成長戦略へ
*11:05JST RIZAP−G Research Memo(5):2026年3月期は、収益構造の再構築(出店・広告抑制)から再成長戦略へ
■chocoZAPの基本戦略とKPI
1. chocoZAP基本戦略と現在のフェーズ
RIZAPグループ<2928>では、chocoZAP事業のスタートから3年間を、1年目の2023年3月期がブランド開始期、2024年3月期が新規出店加速期、2025年3月期が品質改善向上期と位置付けてきた。その結果として、2025年3月期には、通期での事業黒字化を達成した。2026年3月期は収益構造の再構築期と位置付けており、品質向上の取り組みを継続するとともにFCモデル展開やグローバル展開などの新たな出店モデルの本格展開を開始する。
2. 店舗数と会員数
同社では、chocoZAP事業の進捗を随時開示している。店舗数においては、2022年3月期末に16店舗(テスト店舗)、chocoZAPブランドを本格展開し始めた2022年7月に77店舗、2023年3月期末に479店舗と順調に店舗数を伸ばしてきた。2024年3月期末に1,383店舗となり、月間約75店舗のペースで出店したことになる。2025年3月期は出店ペースを落とし、月間34店舗の出店ペースとなった。急速な出店ができた背景としては、基本的に無人オペレーションであり、人材投資が伴わないビジネスモデルである点が大きく寄与している。会員数の伸び率は低下しているものの堅調である。2022年11月には10万人を突破し、2023年3月末に35万人、2023年5月に55万人、2023年11月14日には101万人となり、エニタイムフィットネス(93.5万人、2024年9月末)、カーブス(86万人、2024年11月末)を抜いてフィットネスクラブの会員数で日本一を達成した。この時点で、chocoZAPは国内フィットネス市場会員数上位5社のシェアで30%を超えている。さらに、2024年5月15日時点では120万人、2025年5月15日に135万人と順調に伸ばした。
2026年3月期は、収益構造を再構築する戦略のため、出店数は37店舗(4月〜11月)と出店ペースはさらに落ちた。会員数に関しては、135万人(5月)から110.5万人(11月)に減少したが、これは、1) 株主優待無料期間終了、2) 法人トライアル会員の厳格化、3) 出店抑制、4) 広告宣伝費抑制などが要因であり、同社の戦略に沿った施策の結果である。2026年3月期の会員数は既存店における会員獲得が安定することにより横ばい予想だが、2027年3月期からは出店再開及び現在トライアル中のFC店の増加を主因に、会員数も増加傾向に戻る見通しだ。
競合の観点では、chocoZAPの事業モデルの一部を模倣することはできても、無人運営エコシステムを確立していること、導入サービスがジム以外の多岐にわたっていること、全国1,800店舗を超えるスケールメリットによるコスト競争力などの様々な観点から、集客力や収益性の点でchocoZAPに追い付くのは至難の業だと弊社では考えている。RIZAPのブランドを生かして事業を軌道に乗せ、早期に「ちょいトレ市場」においてデファクトスタンダードを確立したことで、参入障壁を築いたと言えよう。
3. 単月黒字化6ヶ月目の優れた収益モデル
同社では、1店舗を出店してからの平均的な収支を開示している。2022年9月に開示した平均モデルでは、出店から約3ヶ月で単月黒字化し、約18ヶ月で累積投資を回収するというものだった。一般的な店舗ビジネスでは累積投資の回収期間は3〜5年を目安にする場合が多く、それと比較すれば、早期回収ができる事業モデルと言える。その後ビジネスモデルの改善を積み重ねており、出店直後の投資(広告、スターターキットなど)や各種サービスを強化することで、単月黒字化が6ヶ月目、累積投資の回収期間が14ヶ月という平均モデル(2024年3月期第4四半期実績)が最新である。サブスクリプション方式であるため、退会率を一定以内に抑制できれば1店舗当たりの会員数を積み上げることで2年目以降の収益性はさらに上がることになる。
既述モデルから、新規店舗(単月黒字化前店舗、出店から5ヶ月目まで)の比率が多いフェーズは損失が先行し、既存店舗(単月黒字化済み店舗、出店から6ヶ月目以降)の比率が上がると黒字となる。実際にchocoZAP事業全体の収支は、既存店比率が過半となった後の2023年12月に損益分岐点を超え、月次黒字化を達成した。2025年8月現在、出店ペースが落ち着いているため、出店から6ヶ月を超えた店舗がほとんどとなり、収益力が高まった状態である。高い収益性を実現できるビジネスモデルと言えるが、同社では、さらなる拡大を見据えて、既存店の効率運営に加え、FCモデルや共同出店、企業内出店、海外出店など様々な機会に取り組んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
《HN》
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