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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/11/26 11:04, 提供元: フィスコ ガーデン Research Memo(4):企業再生型M&Aや不動産のノウハウは他社にない強み*11:04JST ガーデン Research Memo(4):企業再生型M&Aや不動産のノウハウは他社にない強み■事業概要 2. 同社の強み ガーデン<274A>の企業再生型M&Aと不動産に関するノウハウは他の外食企業にない強みで、同社のビジネスを特徴付けている。また、こうしたノウハウに裏打ちされた同社のブランド力・店舗運営力、同社独自の販売促進策も強みと言える。 (1) 企業再生型M&Aノウハウ 2000年以降、カラオケボックスの事業譲受に始まり、店舗物件や立地・ブランド・人材の面で好条件を有する飲食事業10数社をM&Aしてきたことで得られた強みである。様々なM&A企業から事業や立地、ブランド・商品、教育システム、商流、オペレーション、アセット運用といったノウハウを集約し、譲受した店舗を業態転換や移転などにより最適な形態にブラッシュアップし高収益化する、同社独自の多店舗展開ノウハウを構築した。これにより、自社開発と比べて収益化までの時間を大幅に短縮できるほか、店舗がうまく立ち上がらない場合でもより立地に適したブランドへ入れ替えられるため、同社の成長を促進する基盤となっている。具体例として、駅前好立地ながら不採算だった「チカラめし」は、「壱角家」に業態転換することで店舗利益を確保できた(「壱角家」の出店加速にもつながった)。「山下本気うどん」は、材料や味は良かったものの当初2等地立地だったことで苦戦していたが、1等地立地へ移転したうえ、女性向けに味や雰囲気を変えたことで大ヒットブランドとなった。 (2) 不動産ノウハウ 同社は、2016年の不動産事業参入以来蓄積してきた不動産ノウハウを主力の飲食事業に徹底活用しているため、先取りした有力な物件情報によって優良物件を同業他社よりも早く確保することで、収益化までの期間を短縮できる。同社が不動産事業者として運営する店舗売買サイト「飲食店居抜き買い取り.com」において、同社はサイトに来訪した売却希望者の物件や、物件オーナーから借主探しを直接依頼された同業不動産業者の物件、不動産業者専用の情報交換ネットワークシステムに登録された物件など、足の速いターミナル駅の超1等地物件を含めて事前にアクセス可能である。また、ブランド力のある複数業態を展開し、至近の立地やビル1棟の売却・賃貸にも対応できるため、コロナ禍に増えた外食撤退という追い風もあって、新宿エリアや池袋エリアへのドミナント※展開を実現した。ドミナントには、看板効果による認知度上昇や店舗間の人材応援、スポットワーカーの募集、食品ロスとチャンスロスを回避する食材の素早い移動といった効果があり、高い利益率の一因にもなっている。なかでもドミナントした1等地の看板効果は抜群で、店舗を訴求するための広告費がほぼ必要のない状況にあるようだ。 ※ 小売業において、一定の地域内に集中した店舗展開を行うこと。ドミナント戦略により、経営効率の向上や地域シェアの拡大を図り、同業他社に対して優勢(ドミナント)を確保できる。 (3) ブランド力・店舗運営ノウハウ 同社は「壱角家」や「山下本気うどん」といった強力なブランドを有している。こうしたブランド力の源泉は「いつもの味」にあり、「いつものサービス」や「いつもの雰囲気」などもブランド力の重要な要素であるが、多店舗展開するなかで各店のブランド力を引き上げ、それを維持することは簡単ではない。そこで同社が強みとしているのが、過去のM&Aや業態転換で積み上げられマニュアル化された、繁盛店(来客数の増加及び利益率の高い店舗)のための効率的な店舗運営オペレーションである。特に同社主力の「壱角家」は工場を持たず店内調理もせず、協力工場から調達した材料を店内で簡単にセットアップするだけである。このように属人化を廃して「いつもの味」を維持しているため、QSCA向上に徹底注力して「いつものサービス」や「いつもの雰囲気」も維持できている。加えて、調理をしないので水道光熱費が安く、厨房施設もコンパクトで済み、調理経験の浅いスタッフでも提供できるため、24時間営業も可能となった。このように店舗が急増しても固定費が増えない仕組みが、成長に比例して全社の営業利益率の向上につながり、新興とはいえ外食業界トップクラスの待遇も可能となった。 (4) 販売促進策 同社の販売促進策は、スマートフォンアプリとメディアの活用を強みとしている。スマートフォンアプリについては、各業態において、割引商品や限定商品などの販促活動、ポイント戦略に活用しているだけでなく、来店データを蓄積・分析して顧客個々に応じたクーポンの配信や新商品の告知を行い、顧客の来店動機を喚起している。メディアについては、かつてはテレビや雑誌での露出を重視していたが、現在ではパブリシティとSNSマーケティングが中心となっており、広告費を引き下げる原動力にもなっている。パブリシティに関しては、ドミナントされた駅前好立地やビル1棟丸ごとの看板が目立ち、「山下本気うどん」のキラー商品の見た目が映えるため、マスコミや有名人のSNSに数多く取り上げられることで同社の知名度を引き上げている。現在ではこうした効果を逆に同社が利用して、メディアやSNSを意識した戦略的マーケティングを展開している。また、同社の人気上昇に伴い、メーカーや有名シェフ、映画やキャラクターとの商品開発コラボレーションや、ショッピングセンター運営者などからの出店要請が多くなってきたようだ。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光) 《HN》 記事一覧 |