携帯版 |
![]() |
![]() |
|
フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/10/07 10:33, 提供元: フィスコ FCE Research Memo(3):2025年9月期第3四半期は、前年同期比で大幅な増収増益*10:33JST FCE Research Memo(3):2025年9月期第3四半期は、前年同期比で大幅な増収増益■FCE<9564>の業績動向 1. 2025年9月期第3四半期の業績概要 2025年9月期第3四半期の業績は、売上高4,537百万円(前年同期比23.3%増)、営業利益923百万円(同26.7%増)、経常利益946百万円(同28.7%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益648百万円(同32.8%増)と、大幅な増収増益となった。 同社の属するDX推進事業に関連する業界では、出社やリモートなど働き方を問わず働き方改革が進むなか、自動化や生産性改善に対するニーズが継続しており、環境は良好な状況が続いている。教育研修事業に関連する業界では、オンラインと対面を組み合わせた多様な学習形態が教育に求められる一方で、人的資本経営の広がりや人材育成意欲の高まりを背景に戦略的な研修の重要性が再認識されている。特にリーダー層やデジタル人材の育成においては、主体性の育成を目的とした研修が注目を集めている。こうした環境下、同社は、「チャレンジあふれる未来をつくる」をパーパスに掲げ、人口減少による労働力不足に対して「『主体性』×『生産性』で人的資本の最大化に貢献する」をミッションに事業の拡大と収益性の向上に取り組んだ。 この結果、DX推進事業の「RPA Robo-Pat DX」と教育研修事業の「Smart Boarding」が好調に推移し、売上高は20%を超える増加となった。利益面では、「RPA Robo-Pat DX」の原価と紹介パートナーへのインセンティブが増えたため売上総利益率が低下し、ベースアップや新卒・中途採用で人件費が増加したものの、認知度が向上したことから販促や広告などをコントロールしたことで販管費率が改善し、増収効果も相まって営業利益も20%を超える増加となった。このように業績が好調に推移したため通期業績予想を上方修正した。KPI目標も、DX推進事業の重要KPIである「RPA Robo-Pat DX」の導入企業数1,740社以上(期初前提は1,380社以上)、教育研修事業の重要KPIである「Smart Boarding」の直販における導入企業数800社以上(同780社以上)へと引き上げた。 2025年7月に、ジーニー<6562>及びジーニーのグループ会社であるJAPAN AI(株)と資本業務提携契約を締結した。ジーニーとの提携は、同社のDX推進事業及び教育研修事業と、ジーニーのマーケティングSaaS事業※を連携することを目的としており、既存の顧客基盤やソリューションの相互活用を通じて、将来的に販売協業や連携領域の拡大も検討する方針だ。JAPAN AIとの提携は、同社の生成AI技術を活用した「FCEプロンプトゲート」の事業基盤を拡張・発展させること、及びJAPAN AIのプロダクトである「JAPAN AI AGENT」を同社がOEM導入することが目的で、AIエージェント分野で新たな事業基盤を確立する考えである。 ※ ジーニーのマーケティングSaaS事業:営業管理ツール「GENIEE SFA/CRM」、チャット型Web接客プラットフォーム「GENIEE CHAT」、マーケティングオートメーション「GENIEE MA」、サイト内検索ASP「GENIEE SEARCH」などが利用できるセールス&マーケティングプラットフォーム「GENIEE Marketing Cloud」を運営し、集客から販促・受注までを一気通貫して実行・管理できる唯一の国産プラットフォームを有している。 主力製品の「RPA Robo-Pat DX」と「Smart Boarding」がともに好調を継続 2. 2025年9月期第3四半期のセグメント別業績動向 2025年9月期第3四半期のセグメント別業績は、DX推進事業がセグメント売上高2,499百万円(前年同期比30.6%増)、セグメント利益699百万円(同44.2%増)、教育研修事業が売上高1,946百万円(同14.9%増)、セグメント利益185百万円(同25.6%減)となり、利益面では対照的な結果だった。 DX推進事業では、「RPA Robo-Pat DX」の業績が引き続き好調で、第3四半期末で「RPA Robo-Pat DX」の導入企業数が1,731社(前年同期末比26.9%増)、ARPU(顧客単価)が16.7万円(前年同期比1,2%増)と、全社的な売上・利益の成長をけん引した。導入企業数が大きく伸びた要因は、もともと商品力とコンサルティングに定評はあったが認知度が向上してきたこと、地域金融機関経由でDX推進が遅れている地方企業の案件が増えたこと、ロボパットマスター認定プログラムの受講者を継続的に増やしたことで導入企業においてロボットを作成できるDX人材が増加したこと、展示会やWebマーケティングに加えてトップマネジメントセミナー(既存顧客企業向け活用事例発表会)や紹介パートナー制度を拡大したこと、同業種間でのクライアント紹介などにより見込み客の獲得が順調に進んだこと、新卒を中心とした若手社員が育ちトップ営業の成功パターンを横展開するなど難度の高い「伴走型営業」をこなせる人材が増えてきたことなどにある。また、業務提携したリンクアンドモチベーション<2170>※による大企業向け営業や顧客紹介が拡大していることも要因と思われる。一方、ARPUが伸びた理由は、新規顧客の獲得が良好だとフル機能版1台から始めるという販売の割合が高まってARPUが低くなるのだが、CX部隊の活動で既存客の間で実行専用版の利用が増えて既存客のARPUが全体を押し上げたこと、解約率が低位を維持できていることなどにある。なお、第4四半期に入ってからも新卒など若手社員の活躍が続いており、導入企業数の伸びや既存顧客による実行専用版の導入増や、解約率の低位維持など、業況は引き続き順調に推移しているようだ。 ※ 同社は2024年にリンクアンドモチベーションの持分法適用会社となった。 教育研修事業では、研修事業の「Smart Boarding」が順調に拡大し、第3四半期末で直販における導入企業数が736社(前年同期末比22.9%増)、ARPUが5.8万円(前年同期比9.4%増)となった。(株)日本コスモトピアの連結子会社化もあって売上高は大幅に増加したが、教育研修事業のさらなる成長へ向けて人員増強や広告宣伝活動など戦略的先行投資を実施したことで減益となった。「Smart Boarding」の導入企業数が伸びた要因は、ARPUも収益性も低いOEMから直販を軸とした販売戦略へ転換したことが主因である。直販シフトと直販へのリソース投入により既存顧客のID数が増加し、主軸のeラーニングに評価制度を加えたフルパッケージプランを提案したことがARPUの増加につながった。今後は、「FCEプロンプトゲート」で培ったノウハウを搭載してAI人材育成プラットフォームへ進化させるとともに、DX推進事業とのクロスセルを積極化するなど、研修事業は成長余地が大きいと言える。教育事業では、他社とのシステム連携を図ることでユーザーの利便性や学習効果を高めることを目指している。このため、同社製品をパッケージ化して他社が販売協力しやすい体制を構築し、学校・学習塾市場への浸透度を高めている。具体的には、非認知能力を体系的に育む「Rokuyou」や中高生向け検索アプリ「okke」、児童生徒向け心と身体の健康支援アプリ「ネココロ」など提携先の商品力と顧客基盤を生かした営業を展開した。また、新たな事業機会の創出に向け、資格スクールのTACや大栄など顧客基盤を有する企業に「7つの習慣×セルフコーチング」の提供を開始した。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光) 《HN》 記事一覧 |