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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2025/06/23 15:16,
提供元: フィスコ
カカクコム:「食べログ」が好調、株主還元も充実、「求人ボックス」は戦略投資により売上拡大に注力
*15:16JST カカクコム:「食べログ」が好調、株主還元も充実、「求人ボックス」は戦略投資により売上拡大に注力
カカクコム<2371>は、1997年に設立され、現在は東証プライム市場に上場している。「ユーザー本位の価値あるサービスを創出し続ける」という企業理念のもと、生活の様々な場面において有益な情報を提供している。
主力事業は「価格.com」「食べログ」「求人ボックス」の三本柱で構成されている。「価格.com」は家電・パソコン・金融商品など、あらゆるモノやサービスの比較・検討を支援する購買支援サイトであり、送客数や販売実績に応じた掲載店舗からの手数料収入がメインである。「食べログ」は飲食店の口コミ・評価・予約機能を備えたグルメサイトであり、国内トップクラスの掲載店舗数とユーザー数を誇る。飲食店の広告料やネット予約に応じた手数料収入がメインである。「求人ボックス」は全国の求人情報を横断的に検索できるサイトであり、リスティング広告枠に掲載された求人情報へのクリック(送客)に応じて手数料を得ている。その他には、インキュベーション事業として、旅行や不動産などに関連した情報発信事業を行っており、送客手数料や広告料収入をメインとしている。
いずれの事業においても、ユーザー目線での情報提供を徹底し、ユーザーからはもちろん、掲載店舗・事業者側からも高い評価を受け、各領域において強固なポジションを築いている。また網羅性と正確性を重視し、AIと人の目によるダブルチェック体制で掲載情報の品質管理を行っている。これにより、マーケティングコストを大きくかけずに成長してきた点が特徴である。
事業別の売上構成は、価格.comが約3割、食べログが約4割、求人ボックスが2割弱、インキュベーションが約1割となっている。
2025年3月期は、売上収益が78,435百万円(前年比17.2%増)、営業利益は29,293百万円(同13.5%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は20,032百万円(同10.7%増)となり、増収増益であった。売上は、主に食べログの飲食店予約や広告収入、求人ボックスにおける事業規模拡大により増収となった。利益面でも食べログの堅調な収益が全体をけん引して増益となった。一方で、求人ボックスでは、認知度向上と営業強化を優先課題と位置づけ、当面は利益よりも売上拡大に注力した戦略をとっている。テレビCMなどの広告宣伝費や、求人広告増強のため代理店との提携強化やインセンティブの付与、直販営業の体制づくりなど、戦略的かつ先行的な投資を進めており、利益率が一時的に低下している。
2026年3月期は、売上収益92,000百万円(前期比17.3%増)、営業利益は28,000百万円(同4.4%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は19,000百万円(5.2%減)を予想している。売上は、食べログと求人ボックスを中心に増収を見込んでいる。利益面では、求人ボックスにおけるブランド投資を継続するため、同事業の営業利益は赤字を見込み、同社全体では減益となる見通しである。
2025年3月期を初年度とする5ヶ年の中期経営計画では、2030年3月期の目標として、売上収益1,430億円(2025年3月期比18.2%増)、営業利益530億円(同18.1%増)を掲げている。既存事業での成長ドライバーは求人ボックスであり、同事業の2030年3月期目標は売上収益500億円(同37.4%増)、営業利益150億円(同35.2%増)を計画している。まずは、先行投資により売上を拡大したうえで、収益化に移行し、最終的には同事業の営業利益率は30%以上を目指している。
成長戦略は、インキュベーション事業(旅行、不動産など)の成長・育成、M&Aまたは新規事業創出であり、今後5年間での成長投資は1,080億円以上を計画している。M&Aにおいては、既存事業とのシナジー創出を重視し、飲食店のDX(デジタルトランスフォーメーション)支援領域などを検討対象として視野に入れている。
同社は、長年にわたり配当性向50%以上を基本方針としており、株主還元に積極的な姿勢を示している。2025年3月期は、普通配当50円に加えて特別配当30円により、年間80円の配当を実施した(配当性向78.9%)。2026年3月期は普通配当50円を予定しており(同52.0%)、普通配当ベースでは同水準を維持する方針である。さらに、自社株買いなど追加的な還元策については、成長投資や資金の状況を見ながら、機動的かつ柔軟に検討していく方針である。
《HM》
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