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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/09/29 14:04, 提供元: フィスコ

エフ・コード Research Memo(4):M&Aを活用し事業領域拡大(2)

*14:04JST エフ・コード Research Memo(4):M&Aを活用し事業領域拡大(2)
■エフ・コード<9211>の事業概要

(4) プロダクト領域
プロダクトの領域においては、同社が事業譲受・合併吸収したプロダクトを提供している。Web接客SaaSとして「CODE Marketing Cloud」「KaiU」を、エントリーフォーム最適化SaaSとして「f-tra EFO」「GORILLA EFO」「EFO CUBE」を、WebチャットボットSaaSとして「sinclo」を、LINEマーケティングSaaSとして「hachidori」などの各種ツールを提供している。

(Web接客SaaS)
「CODE Marketing Cloud」は、それまで培ってきたCX向上ツールを統合・発展させたツールとして2018年7月にリリースした。サイト内でのユーザーの行動情報・購買情報を分析し、最適なタイミングでポップアップバナー等の適切なコンテンツを自動提示するなど、一人ひとりの行動履歴や志向性に応じた1to1コミュニケーションを実現する。CXとロイヤリティの向上に寄与するWeb接客ツールを提供するSaaSである。このツールは、自らが取得するサイト内の行動データをはじめ、Google Analyticsなどの解析ツールやマーケティング・オートメーションツールのデータや、顧客が管理してきた顧客情報などを収集・統合して利活用できる。

「KaiU」は2023年1月にサブスクリプションファクトリー(株)から事業譲渡により取得した。離脱防止ポップアップ、Web接客ポップアップ、チャット連携などきめ細かなセグメントやカスタマイズ設定が可能であり、Webページからの離脱操作やそれ以外の動作トリガーの条件設定によりバナーがポップアップするなど、ユーザーのサイト回遊率、見込客の顧客へのコンバージョン率を向上させるツールである。また、顧客のリソース不足に対応するため、運用シナリオ作成、設定、テスト、レポーティングなどツール運用の代表的な作業をすべて代行するオプションも提供している。「CODE Marketing Cloud」と同種のSaaSであるが、累計で1,400以上のサイトに導入されている評価の高いツールであり、継続率も2021年度で96%以上と高く、同社のCXデータの質と量をさらに充実することができるうえ、他のEFOツール、チャットボットなどとのクロスセルが期待される。

(エントリーフォーム最適化SaaS)
「f-tra EFO」は2013年2月にリリースした。PCサイトまたはスマートフォンサイト内に設置されたエントリーフォームの入力支援機能を提供するツールで、「CODE Marketing Cloud」に含まれる一部機能を独立して提供するSaaSである。ユーザーの最終アクションであるエントリーフォームへの入力作業において、ユーザーの離脱を防止するため、入力形式の指示やエラー表示によってエントリーフォームを最適化し、ユーザーの入力ストレスやミスの低減を通してフォーム完成率を向上させ、コンバージョン率を改善する。エントリーフォーム最適化ツールとしては、そのほか2022年2月に(株)コミクスから譲り受けた「EFO CUBE」と、同年9月にブルースクレイ・ジャパン(株)から譲り受けた「GORILLA EFO」を提供する。「EFO CUBE」は、強力なデータ解析機能を持ち、「GORILLA EFO」は充実した入力支援機能やチャットフォーム機能を持ち、それぞれクライアントのCVR※の最大化に寄与する。

※ CVR:Conversion Rateの略。Webサイト訪問者が、実際に商品を購入するなど顧客化する割合を指す。

(チャットボットSaaS)
Webサイトの使いやすさを向上するチャットボットSaaS「sinclo」とLINE等を活用したマーケティング・チャットボットSaaS「hachidori」を提供する。企業のニーズに応じて、WebサイトとLINE等のいずれでも対応するツールを提供できる。2022年11月にメディアリンク(株)から譲り受けた「sinclo」は、ノーコードでWebサイトにチャットボットを簡単に導入できるツールであり、800社以上で利用されている。アイティクラウド(株)運営のIT製品レビュープラットフォーム「ITreview」における「ITreview Grid Award 2023 Winter」では、「Webチャット」「オンライン商談」「チャットボットツール」の3部門で「Leader」に選出された。同年12月に譲り受けた「hachidori」は、LINEの開発パートナー(Technology Partner)として認定バッジ「Notification」を保持する国内4社のうちの1社であるhachidoriが、8,000件を超えるLINE公式アカウントの開発・運用実績をベースに勝ち筋の機能・サービスを凝縮したツールで、大手企業をはじめスタートアップや教育・行政まで幅広く利用されている。また、「LINE WORKS」を運営するワークスモバイルジャパン(株)(現 LINE WORKS(株))より「The Best Collaboration」を受賞している。

(5) データサイエンス・LTVマーケティング領域
2024年1月に子会社化したBINKSは、GoogleやYahoo!などの媒体データ、クライアントの保有する顧客データなどを取り込んで機械学習することで、クライアントの優良顧客とその期待収益、LTVを予測し、その優良顧客にフォーカスしたマーケティング・セールス活動などの支援を行うデジタルマーケティング・コンサルティング集団である。データを集積・利活用するビジネスモデルであり継続型の売上が収益の大半を占める。

その特色は、コアのデータテクノロジー、データ分析技術を用いて、クライアントのユーザーの中から誰が優良顧客になるか、そしてpLTV(predicted Life Time Value:予測顧客生涯価値)を予測し、その優良顧客とpLTVの最大化にフォーカスしたマーケティング施策を打てることにある。このLTVサイエンスのナレッジをクリエイティブ、マーケティング、プロダクトのそれぞれの事業領域に組み込むことで、グループとしてのシナジー効果向上が期待される。具体的には、各SaaSツールへの同社の機械学習、LTVの予測機能などをビルドインし、より精度の高いCX施策が提供できるほか、DXサービスを提供中のクライアントに対して、新たに機械学習による分析やpLTV基点の施策改善を実施し、より高いパフォーマンスの実現も可能になる。

2. 同社の強み
企業のDX需要が強まり、DX市場が拡大するなかで、人材の慢性的な不足が課題となっているが、同社は反対に人材が強みの1つとなっている。同社がM&Aを行った子会社は、単独でも上場が可能な企業もあり、業界でも著名なファウンダーや経営陣が揃っている。そして、彼等がそのままグループに参画しており、その従業員も含めていくことで、グループの人員は50人規模から850人規模(2025年8月現在)に拡大した。特に急成長を遂げているベンチャー企業を作り上げた経営陣がそのままグループに多数参画していることで、事業展開のスピードやアイディアなどの面で見えざる資産として大きな機能を発揮している。また、彼等一人ひとりを新たな求心力の源として、ユニークなIT人材が興味や関心を持って雪だるま式に集まる構図ができ上がっている。加えて、同社単体においても、多数のファイナンス、マーケティング領域のプロフェッショナル人材が参画しており、集まった人材を生かす経営組織・体制づくりやマーケティング支援を可能にしている。

もう1つの強みは、同社のCXデータ基盤のみならず、グループ化した各社、各事業が多様かつ豊富なデータを保有していることだ。獲得した複数のSaaSプロダクトや複数のマーケティングサービスと、そのデータを掛け合わせることで、高いパフォーマンスを実現し、クライアントから評価されるサービスが展開できることだ。一気通貫でクライアントのDX、デジタルマーケティング全般に対して、クロスセルなどによりニーズに応じたプロダクト・サービスの提供が可能となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本 章弘)


《HN》

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