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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/07/11 11:06, 提供元: フィスコ

紀文食品 Research Memo(6):原材料高のなか様々な施策で2ケタ営業増益確保へ

*11:06JST 紀文食品 Research Memo(6):原材料高のなか様々な施策で2ケタ営業増益確保へ
■紀文食品<2933>の業績動向

3. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の業績見通しについて、同社は売上高115,626百万円(前期比6.2%増)、営業利益5,020百万円(同11.2%増)、経常利益4,450百万円(同6.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,000百万円(同15.9%増)と見込んでいる。原材料価格の上昇でハードルは上がったが、国内食品事業と海外食品事業の売上高回復、食品関連事業の堅調な売上高に加え、各種施策と通して採算を改善し、業績見通しを達成する方針である。

日本経済は、米国の政策動向や長期化する不安定な世界情勢などにより、先行き不透明な環境が続くと見込まれている。こうした環境下、同社は、「中期経営計画2026」に沿って、国内食品事業では、今春夏商戦で投入した「SURIMIBAR(スリミ バー)」など新商品や好調な惣菜商品を中心にTVCMやSNSを活用したプロモーションを展開、また新たなチャネルや商材の開拓を通じた新規事業に向けた取り組みを推進し、安定した収益を確保する方針である。海外食品事業では、主力のカニカマを中心に既存のスリミ製品の深掘りをするとともに、多彩な日本食材の提案や新規販路の拡大などの取り組みを進める方針である。食品関連事業では、共同配送などを通じた物量の増加と新規顧客の獲得により業容拡大を図る。なお、米国の関税政策(トランプ関税)に関しては、米国市場における製品の輸入コストをはじめ様々な影響が想定されるが、現時点では不確実性が高いため業績見通しには織り込んでいない。

この結果、売上高は国内食品事業、海外食品事業、食品関連事業ともに増収を見込む。利益面では、すり身など原材料及び副原料・資材などのコスト上昇を想定するが、価格改定や規格対応を行うとともに、商品アイテム数の絞り込みや生産活動・業務活動の効率化を図り、海外では自社製品の売上高増とタイ工場の生産性改善を進めることで、利益率の向上と利益額の確保に取り組む計画である。なかでも主原材料であるスケトウダラのすり身については、米国のインフレを背景に漁業者の人件費が高騰していることや、温暖化により東南アジアでの漁獲が減っていることから先高観があるため、在庫を厚めに確保している。なおすり身の調達については、原材料の50%以上を仕入れているマルハニチロとの提携で、安定した品質と量の調達が可能となっている。海外についても、米国という大きな市場で成長するため、同社独自の販路に加え、米国に拠点があるマルハニチロの販路も利用する方針である。また、スリミ製品の新たな魅力を引き出す「すりみのちから」というブランディングを推進、そこでマルハニチロから調達する差別化されたすり身を活用し、同社が製品化していく計画である。

4. セグメント別の業績見通し
セグメント別の詳細について、国内食品事業は売上高82,705百万円(前期比7.4%増)、セグメント利益2,824百万円(同14.5%増)、海外食品事業は売上高12,121百万円(前期比2.8%増)、セグメント利益1,111百万円(同15.9%増)、食品関連事業は売上高20,799百万円(前期比3.3%増)、セグメント利益1,185百万円(同3.5%減益)を見込んでいる。食品関連事業がやや保守的なため、結果的に全セグメント増収増益になる可能性もある。

国内食品事業の小売部門では、スリミ製品をプロモーションと連動させて拡販するとともに、既存製品をベースに新たなチャネルや市場の開拓を実行する。商事部門では、新規商材の導入と海外市場への販路拡大を狙う。特に低カロリー、低脂肪でタンパクを吸収しやすいスリミ製品について、「すりみのちから」としてブランディングを強化し、例えばレシピ提案として、はんぺんのはさみ焼き(ハム&チーズ)やちくわの射込み、カニカマと油揚げのカリカリチーズ焼きなど用途に応じて様々なバリエーションで展開する方針である。プロモーションも見直し、人気タレントや有名歌手を使ってTVerやBS、ネットメディア、SNSでCM展開、若年層までも含めてターゲティングし、秋季・冬季の商品を春季〜夏季まで広げて展開する計画である。利益面では、こうしたプロモーションを投下するうえ、原材料価格上昇の局面でもあることから、生産能力の増強やITの活用を推進するとともに全商品1,500アイテムの1割を削減するなど、生産から販売までバリューチェーン全域において生産性と効率性の向上を図る。さらに、価格改定や規格見直しを進め、セグメント利益は2ケタ増益を確保する計画である。

海外食品事業は、カニカマ、チーちく(R)などスリミ製品を中心に既存顧客の深耕と新規販路の拡大を進め、特に中国では2ケタ増収を狙う。また、健康志向ニーズへの対応や価格競争力のある商品の開発、Healthy Noodle の米国以外への販路拡大、EC販売の強化を進めるとともに、顧客や取引先との双方向コミュニケーションを通じて「紀文(KIBUN)」ブランドの認知を進め、TAKOYAKIや納豆、甘味などスリミ製品以外の日本食商材の拡販も推進する。地域別では、業務用が好調の米国では日本食レストラン向けカニカマに注力、景気回復中のタイでは販売を強化、前期厳しかった中国では前第4四半期に巻き返した勢いを維持し、セグメント利益は2ケタ増益を狙う。

食品関連事業の主力である物流事業では、好調を継続しているためこれまでどおり、多種多様なニーズに応える全国規模のチルド共配ネットワークのメリットを訴求し、既存顧客の物量増加と配送エリア拡大を進める一方、新規顧客の獲得による売上高シェアの拡大を図る。情報システム事業では、顔認証システムや品質検査管理システムといった独自製品の販売を強化するほか、新規のビジネスモデルの探索も進める方針である。利益面では、人件費や輸送コストの増加を前提に積載率や業務効率、業務品質の向上を図るが、グループ外の売上高を保守的に想定して増収減益の見通しとした。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


《HN》

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