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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/06/23 14:16, 提供元: フィスコ

アステリア:ノーコードソフトウェア製品を開発、構造改革完了で前期黒字転換、再成長フェーズへ

*14:16JST アステリア:ノーコードソフトウェア製品を開発、構造改革完了で前期黒字転換、再成長フェーズへ
アステリア<3853>は、企業内の多種多様なコンピューターやデバイスの間を接続するソフトウェアやサービスを開発・販売しているIT企業である。IT業界は様々なカテゴリーに分かれているが、同社は資源や原材料、製造を必要としないソフトウェアの開発・販売を行う。また、ソフトウェアにも「製品開発」と「受託開発」の2つのモデルがあるが、同社は世界に通用するソフトウェアを開発・提供することを理念に掲げており、一貫して「製品開発」だけを行い、さらにエンジニアではなくてもシステム構築が可能なノーコード製品に特化している。「製品開発」は、先行投資による初期コストがかかる一方で、納品先は不特定多数となるほか、売上高総利益率が高い(約8割)特徴を持つ。セグメントは「ソフトウェアセグメント」と「投資セグメント」に分かれるが、前者が収益の中心を担っている。投資セグメントでは、SpaceX(出資額200万ドル)、mujin(同200万ドル)、JPYC(同1000万円)といった企業へ投資を行っている。

主力製品の「ASTERIA Warp」は、異なるコンピューターシステムのデータをプログラミングなしで連携できるソフトウェアで、大企業、中堅企業を中心にあらゆる業界の11,000社以上の企業に導入されている。国内シェア56.9%と18年連続市場シェアNo.1を獲得している。また、誰でも簡単に自社の業務にフィットするモバイルアプリをノーコードで作成できるツール「Platio(プラティオ)」、AI機能を搭載したエッジコンピューティング型のIoT統合ソフトウェア「Gravio(グラビオ)」の販売も行う。販売はパートナー経由が中心で、営業コストを抑えながら広範な顧客層にリーチできる体制が構築されている。また、料金体系は中小企業や自治体でも導入可能なものであり、幅広い市場への展開が可能となっている。

データ連携を行うソフトウェア製品を展開している企業は一部存在するが、同社は「ノーコード」に特化した点で差別化されている。技術的な特徴に加え、製品の柔軟性・拡張性、生成AIとの親和性も評価されるほか、「ASTERIA Warp」で既にシェアNo.1となっている現状こそが競争優位性となろう。

2025年3月期の売上収益は3,171百万円(前期比9.0%増)、営業利益は781百万円の黒字に転換して着地した。事業構造改革が完了、投資事業とデザイン事業を整理し、ソフトウェア事業が過去最高の売上となった。企業のデジタルトランスフォーメーション推進やクラウド環境の進展を背景にソフトウェア事業において各製品が着実に成長、サブスクリプション型サービスが収益の底上げに寄与した。また、期末配当を上方修正した予想から再び上方修正している。2026年3月期業績予想はトランプ関税の影響などを考慮し保守的に見積もられているものの、売上収益が3,500百万円(同10.4%増)、営業利益が850百万円(同8.8%増)と増収増益の見込み。IT人材の単価上昇、採用コスト、初任給の引き上げなどにより販管費は増加傾向だが、将来の成長投資として位置付けられよう。

生成AIやクラウド利用の広がりにより、コードを書かずにシステム連携が可能なノーコード製品の需要は拡大している。特に、企業や自治体のニーズは引き続き高まっており、同社の市場機会は着実に広がっている。また、生成AIを活用したアプリケーション開発や業務自動化は、ノーコードソリューションと高い親和性があり、自治体など新たな顧客層の取り込みにも寄与している。技術セミナーやユーザーイベントを通じて市場浸透が進んでいる。加えて、クラウド化に加えて老朽化したシステムからの刷新を進めたい金融業界などにも積極営業もかけており、さらなる拡販余地が残されている状態だ。

中期経営目標では、2029年3月期にかけて売上収益のCAGR 8〜12%、EBITDA率25%を掲げている。「営業展開」と「製品展開」の2軸で成長戦略を描いており、「営業展開」ではパートナーの拡大や案件単価の上昇、マレーシアのTapway社との協業など海外展開も想定している。「製品展開」では、全製品AI対応に加えてAIロボティクス領域への拡張やさらなる新製品を提供も予定している。

株主還元では連結配当性向30%目標、累進配当を予定している。そのほか、仮にプライム上場維持について来年の判定期間に満たさない場合は、スタンダード市場に行く計画も示している。安定成長によるキャッシュフローの積み上げが期待されるなかで、前期黒字転換からの再成長フェーズ入りとなっている同社の今後の動向には注目しておきたい。


《HM》

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