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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/06/23 13:05, 提供元: フィスコ

東京會舘:伝統と格式に加えて、高い顧客体験の演出と緻密なマーケティングに基づく戦略的プライシングにより業績伸長

*13:05JST 東京會舘:伝統と格式に加えて、高い顧客体験の演出と緻密なマーケティングに基づく戦略的プライシングにより業績伸長
東京會舘<9701>は1922年創業の老舗企業であり、主に宴会・婚礼・レストラン事業を展開している。皇居前に構える「本舘」を中心に、日本を代表する国際社交場として国内外の賓客をもてなしてきた。「確かな味とサービス、格調高い施設を提供することで、我が国の食文化の発展に貢献すること」を企業理念に掲げ、100年にわたる伝統と格式を有していることが最大の強みである。
主力事業は、宴会部門、食堂部門および売店・その他部門の三部門に大別される。宴会部門は法人・個人の多様なニーズに応じた宴会サービスを提供し、売上高の約7割を占める。食堂部門は高付加価値メニューや店舗ごとの特色を活かしたレストラン事業を展開し、売上高の約2割を構成する。売店・その他部門は焼菓子などの伝統商品を中心に百貨店などで販売しており、売上高の約1割弱を占めている。
また、宿泊機能を有していないことから、施設内に「静けさ」や「クローズド感」を演出できる点が特徴である。全館貸切りや個室対応が可能なため、大手・外資系企業による接待、イベント、株主総会など法人需要に幅広く対応している。結婚式についても高い需要があり、2026年3月期の予約はほぼ満杯で、来年度の予約も始まっている。
約4年間の休業を経て2019年1月に本舘リニューアルオープンして以降、業績は着実に伸長している。その背景には、訪日外国人(インバウンド)需要ではなく、幅広い日本人顧客による高いリピート率がある。緻密なマーケティングに基づく戦略的なプライシングにより、高級感を損なわずに、価格の透明性と顧客にとっての魅力を両立させている。さらに、顧客の来店履歴の一元管理やきめ細かな接客サービスにより、質の高い顧客体験を提供し、それが継続的な利用につながっている。

2025年3月期の売上高は15,273百万円(前期比2.6%増)、営業利益は1,275百万円(同21.7%増)、当期純利益は889百万円(同42.1%減)となった。宴会・食堂部門の増収と、原材料費の計画的調達によるコストコントロールの成果により営業利益は増益となった。一方、当期純利益は減益となったが、2024年3月期は法人税調整額835万円をマイナス計上していた影響を考慮すれば実質的に増益であった。
2026年3月期の業績予想は、売上高15,770百万円(前期比3.3%増)、営業利益1,340百万円(同5.1%増)、当期純利益:910百万円(同2.3%増)としている。今年度は2023年度から開始した3ヶ年の中期経営計画の最終年度にあたるが、宴会・食堂部門を中心に売上高が当初計画を上回る見込みのため、着地予想は上方修正されている。

中期経営計画(2023〜2025年度)では、「現有資産の収益力最大化」と「経営基盤の強化」の二つを重点テーマとして掲げている。現有資産の収益力最大化の施策としては、本舘内のレストラン「プルニエ」が『ミシュランガイド東京2024』において一つ星を連続して獲得したことは、ブランドの価値の向上と高付加価値の実現に繋がっており、具体的な成果の一つである。来年度から始まる中期経営計画でも、現中計と同様に収益力の強化に重点を置いたものになる見込み。

株主還元方針は「安定的・継続的な配当」に配慮したうえで、業績や内部留保を総合的に勘案して決定している。2025年3月期の年間配当は30円(前期と同額)であり、配当性向は11.2%である。2026年3月期も同水準の配当(30円)を予定している。


《HM》

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