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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2025/06/23 11:02,
提供元: フィスコ
アジア投資 Research Memo(2):2025年3月期はプロジェクトの売却が順調に進捗し、大幅な増収増益を達成
*11:02JST アジア投資 Research Memo(2):2025年3月期はプロジェクトの売却が順調に進捗し、大幅な増収増益を達成
■決算概要
1. 2025年3月期の業績
日本アジア投資<8518>の2025年3月期の業績(ファンド連結基準)は、営業収益が前期比26.5%増の3,092百万円、営業利益が105百万円(前期は1,150百万円の損失)となった。
従来連結基準では、営業収益が前期比122.9%増の2,150百万円、営業利益が273百万円(前期は1,522百万円の損失)、経常利益が438百万円(同1,569百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益が399百万円(同1,574百万円の損失)と大幅な増収により、各段階利益で黒字転換を実現した。期初予想に対しても営業収益・利益ともにレンジ内で着地することができた。
営業収益は、予定していた投資金額の比較的多額な未上場株式の売却は持ち越しとなったものの、障がい者グループホーム(16棟)をはじめとするプロジェクトの売却が順調に進捗し、大幅な増収となった。
損益面では売却益の増加に加え、評価損・引当金の縮小、販管費の削減(役員報酬の減額や減資に伴う租税公課の減少等)により大幅な増益となり、各段階利益で黒字転換を実現した。
一方、財政状態(従来連結基準)については、2024年6月に実施した第三者割当増資(約10億円)※に伴う変化があった。総資産は、プロジェクト売却等により投資資産が減少した一方、現金及び預金が増加し、前期末比2.4%増の10,693百万円となった。自己資本については第三者割当増資や内部留保の積み増しにより同22.6%増の6,907百万円に増強され、自己資本比率は64.6%(前期末は54.0%)に大きく改善した。有利子負債は前期末比19.0%減の3,495百万円に減少し、財務の健全化を進めることができた。
※ 2024年6月28日付で、ガバナンス・パートナーズASIA投資事業有限責任組合を割当先とする第三者割当による新株式発行を実行した。資金調達額は約10億円(発行株式数4,400千株)。
事業別の業績は以下のとおりである。なお、2025年3月期より新たな事業方針に基づき、事業領域を再定義した。従来の「プロジェクト投資」「PE投資」から、「投資開発事業(実物資産投資)」(旧 プロジェクト投資にほぼ対応)、「投資運用事業(有価証券投資)」(旧 PE投資にほぼ対応)、「ファンド・プラットフォーム事業(ファンド事務受託)」の3つに区分した。
(1) 投資開発事業
営業収益は1,603百万円(前期は314百万円)、営業総利益は864百万円(同229百万円の損失)となった。予定していたプロジェクト21件(障がい者グループホーム16棟、メガソーラー3件、物流施設1件、高齢者施設1件)の売却により大幅な増収増益(黒字転換)を実現した。
(2) 投資運用事業
営業収益は388百万円(前期は502百万円)、営業総利益は137百万円(同346百万円の損失)となった。前期は利益率の高い上場株式の売却があった一方、当期は未上場株式の売却が中心となり減収となった。また、予定していた投資金額の比較的多額な未上場株式の売却については持ち越しとなった。一方、損益面では、評価損及び引当金の縮小※により増益(黒字転換)となった。
※ 前期は、中華圏のファンド清算にあたり回収見込額の低下した銘柄に対する評価損及び引当金を計上した。
(3) ファンド・プラットフォーム事業
ファンド・プラットフォーム事業は、ファンドの事務受託サービスである。これまで「プロジェクト投資」「PE投資」に分類されていたが独立した。営業収益は158百万円(前期は147百万円)、営業総利益は158百万円(同147百万円)となった。AUA(受託資産規模)残高は伸び悩んだものの、料率改善により計画を超える業績を達成した。
2. 2025年3月期の総括
予定していた比較的多額な未上場株式の売却が持ち越しとなり、予想レンジの上限には届かなかったものの、プロジェクト売却が順調に進捗したことで、予想レンジ内で着地した。これに加え、投資資産の回収や第三者割当増資により財務の健全化が進んだ点は、今後に向けても大きな前進である。特に、障がい者グループホームの譲渡におけるソーシャルプロジェクトボンドの活用(詳細は後述)は、資金の出し手と受け手のニーズをうまくつないでおり、同社がやろうとしている形の一端が具現化したといえる。
一方、同社がKPIとしているAUM・AUAの積み上げについては、立ち上がりがスローとなった。しかし、新体制(事業方針の転換)となって間もないことを勘案すれば、一定の時間を要することはやむを得ないだろう。戦略的業務提携※などをはじめ、様々なパートナーとの協業により、投資開発事業及び投資運用事業ともに案件は広がっているようであり、2年目以降の成長加速が期待される。
※ 2024年8月28日付けでジーエヌアイグループ<2160>及びグロースパートナーズ(株)との業務提携契約をそれぞれ締結した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
《HN》
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